今年も川床の季節がやってきた。何のことかといえば、京都先斗町の夏の風物詩である。縁あって、もう永年にわたり在るお店の床組みを請け負わせていただいている。写真の床は先斗町でも恐らく最も古い年代の物のひとつだと思われるが、最近は構造体が鉄骨の物が随分増えてくる中、このお店のそれは、純木造なのである。当然維持管理は大変手間がかかり、老朽化しているため、かなりの部分で毎年、影補強を行なってきた。今回記事に選んだのは「今年でこの床、最後かも?」という事になっているからである。思い出の沢山ある毎年の当社の行事でもある床組みが、老朽化と店自身の移転を踏まえた背景から今年で終わる事になるかも知れない事は少し寂しい気がする。
川床を知らない方のために少し説明をいれると、京都では昔から、貴船や、嵐山、先斗町などで夏の間だけ料理屋さんや、お茶屋さんが風流のために川の上に涼を取りながらお客様をもてなす風習があり、鴨川沿いに軒を並べる先斗町の床が特に有名で、現在は5月初旬から、9月一杯の約4ヶ月間楽しんでいただけるようになっている。
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で、オフシーズン10月初旬からゴールデンウィーク頃までが、私たちの出番で、シーズンの終わりとともに、解体し倉庫まで運搬し格納し来年に向けて修繕が必要な物は冬の間に直し、造りかえるものは造り替え、春にはまた倉庫から出してきて、川原へ持ち出し組み立てる。なんだかお祭りの神輿にも似た営みを毎年繰り返して来たわけである。一度の作業は3~4日で終了するのだが、木造組みの技術を持った職人さんが大勢必要になり、結構大変な作業であり、遣り甲斐の高い仕事なだけに無くなってしまうかも?は、やはり寂しい。が老朽化について毎年安全を確保する為の腐心から開放されると思うと、少し気が楽になるような気もする。とても複雑な心境でもあるこの頃である。
今までに造りなおした構造体は写真で見ても
色が浅くお分かりになると思うが、現物は造り替えた年代をおって、色が深くなっていくので、組立作業の折に、この部材は何年に、改修しているからどうだ。とか、来年はここがこうだから、造り替えだとか、毎年似たようなメンバーでの作業のときは「技術論」めいた話で盛り上がり、随分楽しい思いもさせていただいた。この時は、棟梁も監督も作業員も皆、同じ立場になってまるで「学芸研究員」になったかのような仕事振りになるのも面白かった。普段はそれぞれ、違う現場で働く仲間が、年に一度集まって盛り上がる仕事。先ほど品物については「神輿」と表現したが、作業についてはまさに「お祭り」と言った感覚も私にとってはとても強い仕事なのである。

